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2019年07月04日 [サービス概要]

個人営業もコンプライアンス対策(反社会的勢力対応)が必要な時代

1,例え零細な個人営業といえどもも反社会的勢力への対応をしっかりすべき時代がやってきている。 昨今吉本芸人による闇営業の問題がマスコミを賑わせている。現在私が把握している事実関係は以 下の通りである。
  2014年12月に、お笑いコンビ「カラテカ」の入江慎也さん(42)の仲介で振り込め詐欺グループの芸人を仲介・出席させ金銭を受け取っていた件で、芸人らが所属の吉本興業は2019年6月24日、入江さんを解雇し、参加したお笑いコンビ・雨上がり決死隊の宮迫博之(49)ほか10を謹慎処分にした。

2,これは反社会的勢力への対応ということではないのだが、今回問題となった各芸人さんと吉本興 業との間には何ら契約書も交わされていないということも報道されている。そうすると、どうして 解雇できるのだろうか、その解雇原因は何なのか、謹慎処分に付する根拠は何か、と言うことがそ もそも説明付かないのである。各芸人さんと吉本興業との間の契約が雇用契約なのか請負契約なの か詳しいことは何も分からない。それが雇用契約ならばその強制終了は懲戒解雇になるわけだが、 これが法的に正当になされるためには一般の会社同様、就業規則に定められていなければならない。 何の契約書もないというのにどうして懲戒解雇や謹慎処分が可能になるのだろうか?
こういう吉本興業を介さずして個人営業を行ったら、何らかのサンクションを受ける・受けないと 言うことは書面で明確にしておかなければならないと言うことだけは明らかである。

3,さらにこれも反社会的勢力への対応ということではないのだが、今回問題となった各芸人さんと吉本興 業との間には何ら契約書も交わされていないということも報道されている。そうすると、どうして 解雇できるのだろうか、その解雇原因は何なのか、謹慎処分に付する根拠は何か、と言うことがそ もそも説明付かないのである。各芸人さんと吉本興業との間の契約が雇用契約なのか請負契約なの か詳しいことは何も分からない。それが雇用契約ならばその強制終了は懲戒解雇になるわけだが、 これが法的に正当になされるためには一般の会社同様、就業規則に定められていなければならない。 何の契約書もないというのにどうして懲戒解雇や謹慎処分が可能になるのだろうか?
こういう吉本興業を介さずして個人営業を行ったら、何らかのサンクションを受ける・受けないと 言うことは書面で明確にしておかなければならないと言うことだけは明らかである。
4,次に芸人さんたちの行動のどこに問題があったのかと言う点について闇営業と言う点が問題とされることが多い。その意味は吉本興業を介さない独自ルートによる営業活動を行った、と言う点であると理解している。しかし、この点は多くの芸人さんが言っているように、従前よりこれを問題にされることはなかった、と言うことで違法性はないのではなかろうかと考えている。吉本興業から定額の給料の支給がない芸人さんも多いということのようなので吉本興業に属したと言うだけでいわば副業が禁じられると言うことはむしろあまりにひどい契約と言える。もともと何らの契約書も交わしていないならばいわばこういう営業禁止特約のような契約はおよそあり得ないと言うことになる。結局、書面で明らかにしておかないとこういう理不尽な処分を受けうると言うことである。

5、次にいよいよコンプライアンス(反社会的勢力の排除)の問題である。民暴弁護士の立場から言わせていただければ、本件で問題なのは、この許された個人営業を行う際各芸人さんにおいて、反社会的勢力の排除に関する配慮が事前・事後に全くなされていないと言う点である。
 論者によっては「結果論として反社会的勢力の助長に荷担しているから非難に値する」という論調もあるがこれは言いすぎであろう。各都道府県の暴排条例においても、こういう結果論としての責任を課している条例は一つもない。各条令が求めているのは、@相手が反社会的勢力と分かっていながらこれを手助けするような取引・サービスはやめることA取引に入るにあたって反社会的勢力ではないことを確認することB途中で反社会的勢力で判明したときには契約を解消できるようにしておくこと、がその基本である。これでは虚偽を弄する反社会的勢力に利用されかねないという批判も考えられる。それはそうであるが、この場合は前述A(反社会的勢力ではないとの告知)に反することになるので、警察において詐欺罪で立件してもらうと言うことでこれを抑止しようというスキームで対応するしかないのである。
 そうすると本件の吉本芸人さんの問題は前述@の場合であれば、さすがに論外だが、ABの措置を講じていなかったことが最大の問題なのである。
6、今回の報道のコメントで土田晃之さんのコメントだったと思いますが「分かったら帰れます?」
 というのがありました。現在の暴排条項は「反社会的勢力であることが判明した場合には契約解除する」と言う条項が要求されています。従ってその質問に対しては(実際そうできるかどうかは別として)「帰ったと因縁をつけて反社会的勢力から文句が出てもしっかり物が言えるように契約しておいて下さい」と言うことになります。
7,これが従前は損害保険会社とか金融機関とか割と大手の法人に求められていたものであるが今回の吉本芸人さんの事件で零細な個人営業においても求められるような時代になったと言うことを痛感しているのである。
なおこの内容を勉強するためには各都道府県の暴追センターの責任者講習に参加すると概要が理解できるはずである。

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